『五星戦隊 ダイレンジャー』〜16. ゴロゴロ子供石〜
1993〜1994年公開(日本)
監督、小林義明・坂本太郎・小笠原猛・東條昭平・渡辺勝也
脚本、杉村升、荒川稔久、藤井邦夫、高久進、井上敏樹
地球侵略をもくろむ妖力使いゴーマ族と、気力を操るダイレンジャーが地球を守るために戦う。
※ネタバレあり
第十六話(最初から読む)。「ゴロゴロ子供石」タイトルからしてホラーです。
オープニング挿入映像。
今度はガラさまが頭陀袋を! 袋からは怪人が投げ出されます。やたら格好良くポーズを決めます。
それにしても、OPの一番盛り上がるところにゴーマ側の映像が挿入されるのはいかがなものか(笑)。
ダイレンジャーのみんなが自転車をこいでくる映像のラストがハニワ腹話術師(今回の怪人)でくそワロタ。何、自然に混じってんの。カゴに人形を入れているところ&「元気はつらつ!」って感じのこぎ方もツボります。スタッフは狙っているとしか思えない。
クジャクとガラの因縁話がダイジェストで登場。と、いうことは。今回はクジャク回!
国立博物館の、孔雀明王の絵の前にいる大五。「優しいクジャクに戻ってくれ」と祈っています。
定期的に訪れているんだろうな……熱心です。
大五のペットショップ。女の子(ユキちゃん)が表の鳥に草をあげようとしています。大五と目があい――。大五、満面の笑みで「ニコッ」。いい笑顔だ……。大五は寡黙だけど優しいときは優しいのがナイスガイです。 ユキちゃん、勝手にご飯をあげようとしているのだから叱られるかも、と思っていたでしょうに。ホッとしたのか彼女も微笑みます。
家が団地だからペットを飼えないという彼女。大五は、ペットショップの動物にご飯をあげさせてあげます。
その中に、やたらと吠える犬がいました。肩に触れて距離をとらせる大五のさりげなさがグッドです。
「この犬は、人間に傷つけられて、怯えて吠えているんだ。だから、憎んだり恨んだりせず、優しくしてあげるんだ。そうすれば、きっと仲良くなれる」
この台詞は今回、重要な意味を持ちますが、本当に名言だと思います。いろいろなものに当てはまりますね。犬にも、クジャクにも、彼女にも……。
クジャク編の最終的に行きつくところが、大五のこの台詞であるところが、いいなと思います。
夕暮れの公園。砂遊びをする女の子。
そこに現れる、埴輪型の不気味な人形。
「一緒に、あそぼ」
振り向いた瞬間、少女は石に変えられてしまいます。
久しぶりのホラー回です。定期的にホラーをぶち込んでくる、ダイレンジャーはこうでなければ。
公園には石になった子供がたくさんオブジェのように並んでいます。
タイトル「ゴロゴロ子供石」。コワイヨー。
公園に集合するダイレンジャー。
「ダメだ。どの公園にもゴーマ怪人はおろか子供ひとりいねーよ」(将児)
「石にされるんですよ。子供だってうろうろしていませんよ」(知)
恐ろしいやりとりです。ゴーマ怪人がいないことはともかく、子供がいないことは残念がらなくてよくないか。
「本当にゴーマ怪人の仕業なのかなあ」(亮)
「当たり前でしょ。他に誰が子供を石にするなんてひどいことをするのよ」(リン)
「ひどいこと」以前に、そんな特殊能力をゴーマ以外も持っていたら怖いよ! もしかしてそういう能力者がわりといる世界なのか?
「リンのいうとおりだ。とにかく、早くゴーマの怪人をみつけるんだ」(大五)
いよいよ大五がリーダーっぽいです。
大五のペットショップから、家に帰ろうとしているユキちゃんの前に、クジャクが現れます。微笑みながら手をかざし、
「さあ、公園に行こう。公園に行って、遊びましょう」(クジャク)
本当にクジャクか? ってくらい、不気味です。初期のクジャクは本当に手が付けられないたちの悪さですね。
クジャクの催眠術によって公園へ招かれたユキちゃんの前に、埴輪人形が現れます。
「一緒に、あそぼ」
埴輪人形の光線を浴びても、ユキは石になりませんでした。
ゴーマは石にならない子供を探していたのです。石にならない子供は、ゴーマの血を引いているということです。たしかに、ダイ族の子孫がいるように、ゴーマの子孫もいてもおかしくはないですよね。日本と中国は近いので、日本に流れてきている可能性も充分にあります。
「やっと見つけたな、ハニワ腹話術師」
嬉しそうに話すガラさん。ゴーマは怪人もそれ以外も主従関係を越えた人間関係がある雰囲気が素敵です。
ゴーマ族の末裔の子供を集めて、怪人に改造するのが目的な様子。
イメージ映像とガラさんの恍惚とした表情がシュールです。
「怪人に改造」というのが気になります。ゴーマ怪人は改造されて今の姿になっているのでしょうか。それとも子供の持つ力を無理やり増幅させて怪人体を作るということなのでしょうか。
「ゴーマの血に目覚める」や「ゴーマ怪人になる」というのがどういう状況なのか考えてしまいます。
そこに現れるクジャク。
「ガラ、お前の望みは叶わぬ!」
クジャクの気を追って、大五も現れます。
大五がハニワ腹話術師の技で踊らされる姿が面白いです。シリアスシーンなのに普通に今風のダンスを踊り出すところがダイレンジャーらしい。
「とどめだ!」と紐を手繰り寄せて大五を突き刺そうとします。踊らせる意味はどこに!?
クジャクに助けられ、転身に成功するシシレンジャー(大五)。
さっそく大輪剣を使って戦います。大輪剣の技「気力シュート」、せっかくの輪っか型の武器なのに、カーブして投げずにまっすぐ気力でシュートするというのが不思議です。なぜ、シュートするんだ!? その形なら、普通、投げるだろッ!
大輪剣を食らったハニワ腹話術師、バラバラになってしまいます(文字通り)。けっこうグロい図です。
姿を消したガラを追い、大五&クジャクも公園を離れます。
取り残されたバラバラのハニワ腹話術師。
なんと体がつながり、元に戻ってしまいます。と、と、戸愚呂のお兄さんですか??
必死にユキちゃんを探す大五に、クジャクが言います。
「催眠術をかけて囮にした、ユキの気が教えてくれる」
クジャク、自分からユキを囮にしたことを告白するなんて。
あえて自分の冷徹さをアピールしているのか、それを悪いとすら判断できなくなっているのか……。
大五は当然怒ります。
「クジャク! そんな汚いことをしてまでガラに復讐したいのか!」
「6000年もの時を、屈辱に塗られて生き延びてきた私だ。すでに情けは捨てた」
「クジャク! 復讐して何が生まれる! ……昔の優しいお前に戻ってくれ」
大五、まるで昔のクジャクを知っているように語りますね。「お前が昔の私の何を知っているのか」とクジャクの立場なら思ってしまいそうです。
それにしてもクジャクの言い回しは本当に大仰です。ちょっと鏡化粧師が可哀想になってきます。
「大五。ガラに復讐するためなら、私は手段を選ばない」
「許さん。そんなクジャクは許さんッ!!」
お前はクジャクの何なんだ。
大五のいうことは正しいのですが、理想を押し付けている感じもします。
CM明け。
クジャクの催眠術で石にならなかったことを知るガラ。ユキちゃんは催眠術をかけられたことを知っていたようです。「こういう事情で、石にはならないから安心して」と本人にわざわざ言い聞かせたうえで連れて行ったということでしょうか。
一方、本部に集まるダイレンジャーたち。
「クジャクが女の子を囮にしたんだって?」(将児)
「ええ。大五のガールフレンドですよ」(知)
誤解を招く表現はやめなさい。
ゴーマの隠れ家に潜入するクジャク。
「ガラはどこにいる!?」とユキちゃんに詰め寄ります。「ダメ、こないで」とユキがいうのに、明らかに怪しいのに、近づくのがクジャクの熱くなると止まらない性格を表しています。
案の定罠で、捕らえられてしまいます。
「勝負を焦ったな、クジャク」
ガラの言うことがもっともです。
クジャクは孔雀明王の力を借り、結界を破ってユキを逃げ出します。一応、ユキもつれて行くところがなんだかんだで優しいです。
傷だらけのクジャクを手当てするユキ。
「恨んでいないのか。お前を囮にしたり、恐ろしい目に遭わせた私を」(クジャク)
「誰でも怪我をして苦しんでいれば、憎んだり恨んだりしちゃいけないって、大五のお兄ちゃんが言ったわ」(ユキ)
冒頭の台詞をここまで(いい意味で)拡大解釈できるって素晴らしいと思います。
「大五が?」のクジャクの口調がよかったです。「うん。そしたら仲良くなれるって」。ユキにそういわれて、クジャクは複雑な表情になります。
大五の言葉と、ユキちゃんの優しさがクジャクの心を解かし始めるのは感動的です。
ガラがコットポトロを連れて探しにやってきました。ガラを先頭に、コットポトロが一列になってのっしのっし行進する姿はすごい図です。
ピンチのクジャクの前に大五が現れます。
「ユキちゃん!」
ユキちゃんにだけ声をかけるのは、クジャクを怒っているからでしょう。そんな大五に、ユキちゃんが、「お姉ちゃんが」とクジャクの怪我を訴えます。「怪我をしているのか? クジャク」と心配する辺り、やはり大五も優しいです。
「私はいいから、この子を」
「クジャク……」
クジャクの言葉に、大五の心が揺れます。
「ハニワ腹話術師! 子供を石にするとは、許さん!」
大五は怪人と対峙すると、相手の罪を読み上げ、それから非難に移るところが興味深いです。大五の性格が出ています。
場所を移し、仲間と合流してハニワ腹話術師に闘いを挑みます。
シシレンジャーとハニワ腹話術師の一騎打ちとなります。
己の拳法の型を披露しあうのが熱いです。
「シシレンジャーVSハニワ腹話術師」
今回から始まる唐突なテロップ!
OPといい、演出にツッコミどころの多い回です。いろいろと試行錯誤していた時期なのかなと思います。
睨み合う二人。空き缶が落ちたのと同時に戦闘開始!
あー、なんとなくこのあたり、覚えているような気がします。
ハニワ腹話術師、普通に肉弾戦も強いです。殺陣をしっかりと見せてくれます。
お互い素手で殴り合っていたのに、不利になったら剣を抜くシシレンジャー!
剣でハニワ腹話術師をバラバラにしてしまいます。しかし、目の前で体が引っ付いていく。
何事もなく起き上がった怪人を見て、さすがのダイレンジャーもビビります。死んだ相手が再生するのはやっぱり戦士でも怖いんだなーと。
その時、大五の頭にクジャクの声が響きます。
みんながハニワ腹話術師の方を向いて構えをとっている中で、一人、空をぼんやりを見上げるシシレンジャーが面白いです。
クジャクは、ハニワ腹話術師の本体は人形の方であることを教えてくれます。
腹話術されていたのは、怪人のほうだったのか……!
よく見たら、ゴーマの象徴である一つ目がついているのは人形の方なんですよね。こんなところに伏線や設定が活かされているところが素敵です。
打ち倒された人形は、巨大化爆弾を使います。
巨大化した姿が、怪人体(偽物)ではなく、人形の姿になっているところ、芸が細かくてさすがです。
今回はきちんと気伝獣を全員呼び、大連王となります。
大連王の手足にロープが結ばれ、「大連王もダンスさせられてしまうん?」と思ったら、「大放電」でやっつけてしまいます。
大王剣・疾風怒濤!
やられたときのハニワ腹話術師の、回転しながらの倒れ方が美しかったです。
子供たちは無事に人間に戻りました。
大五とユキちゃんも再会。ユキちゃんは、クジャクが泣いていたことを伝えます。
クジャクは、国立博物館の孔雀明王の絵の前にいました。この絵が大五とクジャクを結ぶポイントとなっているところがよい演出だと思います。クジャクからも大五からも、クジャクの師匠である明王へのリスペクトを感じます。
そして、はらりと落ちるクジャクの羽……。不穏な空気を残して、物語は次回を待つこととなります。
これでもかというくらいにドラマティックなBGMが何とも言えません。
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