第三話目です(最初から読む)。
「魂ちょうだい!」ストレートすぎます。
やっと叫ばなくなったかと思ったら、今度はゴーマ視点かよっ。
この話の冒頭は衝撃的です。のっけからヒーロー同士がカーチェイスを始めて、子供と接触事故を起こしかけるという内容。
このころのダイレンジャーはまだまとまりきっていないわけですが、それにしても意識が低すぎます。最初からヒーロー然としていなくて「現代っ子」な甘い感じがあるところがダイレンジャーの面白いところでもあります。
カーチェイス時の知(カズ)のナルシスティックな笑顔、将児の腹の立つ挑発の仕方が面白いです。そしてガチで追い抜き合う見ている側がハラハラする運転もリアルでした。
しかし知、柔和で落ち着いたタイプに見えるのに、挑発されたら乗ってしまうんですね。青臭くていいと思います。
競争に夢中になっていた二人は、飛び出してきた子供(マサオ)をはねかけてしまいます。寸でのところで左右によけて助かるのですが、今だと危険すぎてできなさそうな演出だと思いました。
呆然となっているマサオに、二人は慌てて駆け寄ります。
しかしこの二人、心配もそこそこにケンカを始めます。
「なんて運転するんだ」(将児)
「危ないじゃない。だいたい僕に勝てると思ってるの」(知)
「てめーとは腕が違うんだよ!」(将児)
事故しかけたことよりも、自分たちの勝負のほうが気にかかるお二人。DQN気質が見え隠れします。
そこにマサオの姉が駆け寄ってきます。当然、怒っており、「もしもの時に連絡先を教えろ」と言われます。私も子供の頃、「事故に遭ったらその時は平気でも後から何かあるかもしれないから、必ず相手の連絡先を聴くこと。また自分が大人になって事故した場合も必ず教えること」と学校の先生に教えられました。だからお姉さんの対応は至極まっとうなものだと思います。
しかし、この二人のヒーローは……
「そんな、オーバーだよ。かすってもいないんだぜ。なあ?」(将児)
うなづく知。
なんというダメ人間的反応。
嫌がる二人ですが、姉に睨まれて観念したようです。将児の目つきがまるで子供のようで面白いです。
ここでタイトル&場面転換。
深夜。踊るように動く妖しいマントの影。その足元は……ローラースケート!! 今度は光GENJIかよ!!
鍵の着いたハット、体にもジャラジャラとつけられた鍵。どうみても変質者なマントの男は、住宅に不法侵入します。部屋で寝ているのは知と将児に轢かれかけた少年。
「この世に鍵はいくつもあれど、私の鍵は閉ざされた心の扉も開けるんです」
そういいながら、怪人姿に変化! 変質者の正体は「鍵道化師」でした。無造作に布団をめくり、少年の胸に鍵を突き刺し、ぐるりとねじります。すると胸がパカッと開いて、白い玉の入った小部屋があらわになります。子供心にこの描写が怖くてなりませんでした。鍵道化師は白い玉を持って行ってしまいます。
白い玉(魂)を持っていかれたマサオくんは抜け殻のようになってしまいます。
お姉さんはこれを、事故の後遺症ではないかと考えます(まあ、タイミング的にそうなるよね)。
美容師業をしている知。マダムが知にチップを渡す様子に闇を感じます。「いつもすいません」と、普通に受け取っている知もヤバい。
そして知のところに電話が。将児とともに、マサオの入院している病院に呼び出されます。
自分たちは関係ないと主張する二人。お姉さんは納得しません。しかし、この将児の激しい口調、この二人、本当に自分のやったこと反省しているのか? 結果的に無傷だったとはいえど、ひき殺しかけたことを考えたらもっと殊勝にふるまうべきではないだろうか。そういうところも含めて、まだまだ人間ができあがっていないことが伝わってきます。
他にも同じような状態になっている子供がいると聴く二人。
とぼとぼ帰りながら、「どうします?」という知に、「このことは本部には内緒にして……」という将児が本当にしょうもないです。小学生かっ。
その時、歩いている二人を無人の車が襲います。よけるときに石垣を登るアクションがすごいです。
車を開けると、運転席にいたのは人形でした。人形は将児を襲い、そのまま逃走します。
車に追われたこと、人形に襲われたことを本部にて報告する二人。しかし、亮もリンも信じてくれません。おいおいこんなので大丈夫なのか……やっぱりこの人たち、本当はあまりダイレンジャーやりたくないんだろうな……。亮とリンは二人で一つの雑誌を読み、さらに一緒にお茶に出かけてしまいました。いつからそんな仲になったんだ。
道士まで黙って部屋を出て行ってしまいます。ひどすぎる。
しかし、大五は協力すると。「一人でもおかしいと思ったら、調べてみるのは当然だ」と。さすが大五。グリーンなのにレッドよりしっかりしている大五。
一方鍵道化師は、屋外ステージで一人ローラースケートを楽しんでいました。
紐男爵といいガマグチ法師といい……。6000年ぶりに蘇って新しい文化に触れてはっちゃけちゃっているようにしかみえません。
そこに現れるゴーマ三幹部。この時はセンターがシャダムです。両脇で観客席に座り始めるザイドスとガラが面白いです。なんで座るの(笑)。
三幹部は鍵道化師が指示を無視していることを怒っているようです。ゴーマ怪人はみんな自己主張が強いのでまとめるのが大変そうです。
「ゴーマはお怒りよ。言う通りに動かないとどうなるかわかっているの」(ガラ)
「わかった。言う通りにするよ。ムヒョヒョヒョ」(鍵道化師)
プチ脅しに屈する鍵道化師。それにしても上司に対するとは思えないフザケタ態度です。まあ人間体の外見で判断すると、鍵道化師は三人より年上っぽいですからね。ちょっと舐められちゃっているのかもしれません。
マサオのお姉さんにおかしなもの(人形とか)を見なかったか聞き取り調査する知・将児・大五。お姉さんは見ていないと。「責任逃れする気でしょ。あなたたちのせいよ」とご立腹な様子。将児と知はそそくさと退散します。
「お兄ちゃんもまだ何か言いたいの?」
「わからないんだ。あいつら、君の弟に何をしたんだ?」(大五)
まあ、そうなりますよね〜。
お姉さんは泣き出してしまいます。将児・知! 自分たちのやったことをもっと深く受け止めろよな!
仕事で家を空けている両親の代わりに弟を守らなければならないお姉さん。身の上話を聞いて慰める大五さんが男前です。
そこに叫び声が。鍵道化師の新たな犠牲者が出たのです。倒れた子供に覆いかぶさって胸に鍵を突き刺す姿が何とも怪しいです。さすがはゴーマ怪人。鍵道化師の変質者っぷりは紐男爵・サボテン将軍に並ぶポテンシャルを秘めています。
鍵道化師を追いかける大五ですが、途中で人形の群れに襲われます。小人、お姫様など、メルヘンチックで可愛らしいのに、手に持っているのは包丁というのがとても怖いです。縄やめん棒を持っている人形もいます。1・2話はシュールな怖さでしたが、3話目はストレートにホラーです。一体なぜ、戦隊モノでホラーをやろうとするのか! そこが魅力なのだけども!
そして車で逃げる人形たち。リアルなのかファンタジーなのかよくわかりません。
将児と知は喫茶店でお茶していました。仲いいなオイ。「やめたやめた」と、言い出しっぺなのに捜査を放棄する将児。それに乗っかる知。
そんな二人とは裏腹に、大五は一人頑張っていました。車を追い、工場のような場所に着きます。よく追いついたな……大五一人ならともかく、少女まで一緒なのに。
「君はここで待っているんだ」
「いや、一緒に行く」
普通、無理でも置いていきますが、そうならないのがダイレンジャー。大五はお姉ちゃんの想いを汲み、一緒に潜入します。お姉ちゃんの安全のためにもそこは置いて行こうよ。でも連れて行ってしまうこの青臭さがいいんですよね。
工場内で大五が見たものは、たくさんの人形と、それに子供たちの魂を吹き込んでいる鍵道化師の姿でした。
「生きろ、生きろ。私の可愛いお人形」
あ、あ、あかん人や……。
「楽しいな、悪いこといっぱいするの楽しいな!」(人形)
元々の子供の性格は反映されていない様子。人形の人格は鍵道化師の理想が反映されているのかもしれません。理想のとおりのお人形さんが欲しい、というのはまさにピグマリオンコンプレックスです。
殴り合いになる大五と鍵道化師。鍵道化師、こんなにふざけた見た目とキャラなのに、人間体でも強いです。大五、吹っ飛ばされます。
鍵道化師、怪人体に変身。大五もシシレンジャーに転身します。鍵道化師の「鍵ジョッキン」という技が恐ろしいです。頭の鍵で鋏のように「ジョッキン」してきます。
動きが機敏な鍵道化師に追いつめられるシシレンジャー。下では少女がコットポトロたちに追いかけられています。
大五は本部に救援を求めます。無線(無線というところが面白いです)で連絡を受けた道士は、他のダイレンジャーに救援要請します。
秘密基地に無線とかテレビとかあるのが面白いです。道士、見た目に寄らず現代的です。
救援はなかなか到着せず、大五は一人で少女を助けるために戦います。
さらに幹部3人まで現れます。今度はガラがセンターです。妖力で引っ張り寄せたシシレンジャーの首をガラが絞めあげ、片手で持ち上げる! 往復ビンタ! 平手ではなくグーだ! しかも投げ飛ばされ、今度はザイドスが蹴り飛ばすっ。そしてシャダムが口からビーム! 大五、一方的にリンチ状態です。怖いよ、この人たち怖いよ。
崖の上に立つ鍵道化師。その傍に三幹部たちもワープします。ガラが片足だけ前に出しているのが悪っぽくていいです。シャダムだけ座り込んでいるのも面白いです。
ザイドスは後半どんどん面白くなってくるんですがまだこのころは真面目です。
ダースベ○ダー風BGMを背景に、魂を抜かれるお姉ちゃん。鍵を刺されると動きが停止するところが怖いです。そして、そのまま崖から落とすという残虐非道ぶり。
シシレンジャーはジャンプして彼女を受け止めようと、ようと――届かない、届いてない、手が、手が――と思ったら、次のカットではしっかりと抱き留めています(いまのはギリギリアウトじゃなかったやろか……?)。
「ムヒョヒョヒョムヒョヒョヒョ!」とあざ笑う鍵道化師と、後ろでニヤニヤして眺めている三幹部。とても凶悪な図です。子供に見せたらいけないレベル。
ネタにして笑えず普通に引いてしまった辺り、自分は大人になったのかもしれません。ゴーマ幹部は人間の姿だからなんか余計にリアルなんですよね。
やっとほかのメンバーが集まってきました。しかし、時すでに遅しです。
大五ブチ切れ。
将児と知を殴り飛ばします(亮とリンは免責された模様)。将児の険しい顔が、殴られたことへの怒りなのか、自分のふがいなさへの怒りなのか気になります。知、亮、リンはとても気まずそうです。まあ、亮とリンも信じずにお茶しに行っていたわけですからね。
5人の中で多分大五が一番人間ができていると思います。たまに真面目というかピュアさが行き過ぎて、とんでもないことになりますが。
最後のナレーションの「なぜこんなことになったのか」という部分がなんか笑えます。原因はハッキリしているよ! みんなお茶していたからだよ!
そして、次回へ続きます。
エンディングには、ダイレンジャーが本部(秘密基地)としている東京駅が映ります。このレトロな建物が東京駅と知った時の衝撃は忘れられません。田舎者はあれが東京駅だと知らなかったのです。東京駅の地下に本部があるというのもワクワクする設定だと思います。