『本格冒険科学映画
20世紀少年』を見て
2008〜2009年公開(日本)
監督、堤幸彦 脚本、長崎尚志・福田靖・浦沢直樹・渡辺雄介 原作、浦沢直樹
※ネタバレ含む
『本格冒険科学漫画
20世紀少年』(感想)の実写映画版。若干展開は違うものの、かなり漫画に忠実に作られています。
ケンヂは失踪した姉の娘を育てながらうだつの上がらない生活をしていた。そこに刑事が訪ねてくる。お得意先の失踪、小学時代の友だちの死、それらにかかわる「ともだち」と名乗る男を中心とする宗教団体……。「ともだち」の使うマークはケンヂが小学時代、秘密基地の仲間たちと使っていたマークだった。そして当時ケンヂが書いた「よげんの書」のとおりに事件が起こっていく。「ともだち」の正体を突き止めるため、世界の平和を守るためにケンヂは再び秘密基地の仲間たちと集う。
〜第二章までの感想〜
面白かったです。漫画で全部読んではいるのですが、やはり映像で観るとまた迫力が違います。最近は特撮映画もめっきりなくなってしまったし、こういう大仰な演出の映画がスクリーンで観られることが嬉しいです。
第一章を観たあと、すっかりハマッて漫画を全巻そろえました。本当は、第一章の地点まで読んで、後は我慢しようと思っていたのですが、ついつい全巻読んでしまいました。第二章を観て、やはり読むのを我慢していた方が楽しめたような気がしてもったいない思いにさいなまれています。
漫画版でのトモダチの正体は、途中で「こいつ以外のキャラだったら納得できない」と思うキャラに至り、結局それは正解でした。しかし、映画だとちょっと展開が違ったんですよね……最後、一体どうオトすかが気になります。漫画は、犯人はわかったものの、かなり消化不良だったので、映画ではすっきりできる形にしてほしいと思います。私にとって物語で一番大切なところは、最後にどう閉めるかですから。そういう意味では、意味深な事を描くだけ書いてで引っ張るだけ引っ張って、そのまま細かい部分をうやむやに終わらせた漫画版はちょっと卑怯な作品でした(ま、面白かったのでよいのですが)。
映画のエンディングで、子ども時代の様子が出ていました。子ども時代の悪党は、所詮ヤン坊マー坊レベルだったけれど、大人になったら、まったく眼中にもなかったような人間が現れて、双子なんて比じゃない悪の大魔王になったりするんだよなぁ……と、何か感慨深く思いました。
役者の話。
小泉響子は、どこから連れてきたのかと言うくらい漫画版にそっくりでびっくりしました。
ちょっと不満だったのは高須さん。あれは美人すぎるでしょう。ほかをあそこまで漫画版に忠実にしているのに、彼女だけ美人に変えてしまうところが、あざとい感じがしました。また、漫画版の高須は自分の頭でいろいろ考えて動ける女性に思えましたが、映画版の彼女は本当にただ洗脳されて盲目的に動いている印象を受けました。ただ、あれはあれで観ているうちに狂気的な感じが肌に伝わってきて、いい演技してるなーとは思いましたが(笑)。
ちなみに、漫画を読むとき、途中を飛ばして見たため、私は高須さんのことをしばらくオカマだと思っていました……。飛ばしたところを後から読んで、ビビリました(汗)。しかも万丈目の愛人って(汗)。
〜第三章まですべて見た感想〜
尺の都合上、削除されるなりするであろうと思っていた関所の「最悪の男」。関所はあったけど、いたのは万丈目だった!
ここは変えて欲しくなかったな。万丈目にするくらいなら関所のシーンごとカットしてくれたほうがよかった(そうはいかなかったのでしょうが)。
原作の万丈目は、ともだち(フクベエ)が死んだときに涙を流し、後のともだちがフクベエでないと気づき迷走するような男だった。あんなフクベエでも「フクベエ」だから慕ってくれる人がいるのだということは私の中ではけっこう重要な位置づけだったのですが。
映画の展開だと万丈目のキャラが違ってしまいます。
あと、高須さん。あれも原作だとラスボス級のキャラだったのに、映画だと小者化していて残念だった。「ともだち」ではなく「フクベエ」を信じた万丈目と、「フクベエ」ではなく「ともだちそのもの」を信じた高須。同じ信者でも信念は違う、原作ではそこがはっきりしていてよかったんだけど。
あと、ともだちに「お前こそ悪の大魔王じゃないか!!」と、これは言って欲しかった。
敷島博士には二足歩行に感激しながら死んでほしかった。
ヤン坊マー坊がくるくる回りながら解説する演出は面白かったです。
ともだちが「カツマタくん」であることは意外にも変更されていなかったが、フクベエは死んだことにされていたね!
斬新だがこれはちょい無理があるだろ……。
「そう来たか!」とは思ったんですけど、奇をてらいすぎて失敗したような。
「なんだかわからないけど突然死んでしまったのは、フクベエのほうだった」……ちょ、ちょい、怖いぞ!
とまあいろいろ不満もあったが、全体的には面白くてよくできた映画でした。
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