『闇金ウシジマくん』ゲイくん編、ヤミ金くん編
2004年出版(日本)
真部昌平
※ネタバレあり
違法金利でお金を貸す「闇金」業を行っているウシジマくんと、債務者たちのお話。
タイトルは毎回そのエピソードの主役となるキャラの特徴+くんがつく。
最近、「ヤミ金くん」編を読みましたので感想です。また、「ゲイくん」編も以前に別で書いた感想をこちらにも載せます。(話の順番だと本当はゲイくん編が先です)
「ヤミ金くん」編
明かされるウシジマくんたちの中学時代。
ウシジマくんは中学二年生のとき、柄崎と加納のクラスに転入。
そして二人は生意気なウシジマくんを集団リンチ!!
リンチはともかく「クラス全員お前のこと嫌いだってよ」とか机に花置くとか、陰険ないじめなところがこれは柄崎うんこ野郎と携帯に登録されてても仕方がない。
竹本くんは、クラスの中で唯一リンチに参加せず、柄崎に後で殴られる。でもそのことはウシジマくんに言わない。鰐戸三兄弟を倒しに行くときはウサギも預かってくれた。
そのことがウシジマくんはすっごく嬉しかった。
この後ウシジマくんは鑑別所に入っているんだから、かなり長くウサギ(うーたん)を預かってくれていたことになる。
そういうなんやかんやの過去が現在につながり――。
竹本くんは作中最強かも。彼には恐怖も敗北もない。また、お人よしなだけじゃなくて冷静に状況を分析して作戦を作り込める。
元々は人への愛情の持ち方がわからなかった、だから「こんな感じ?」ってふるまう博愛が度を越していて「人間味がない」って見えるんだね。でもなりたいものを目指してずれた行動とっちゃう、というのはある意味人間らしい。
こういうふるまいを続けているの、ウシジマくんのことは本当に好きだからだよね。人を愛せるウシジマくんが好きで、自分もそうなりたいしそうなった自分を見てもらいたい。
お母さんの形見をうさぎを大事にするウシジマくん。
自分をリンチした柄崎と加納を助けるために鰐戸三兄弟に挑むウシジマくん。
そういった姿がきっとすごく眩しかったのだろう。
皆変わっていくようで、竹本のウシジマへの感情も、ウシジマの竹本への感情も変わってない(変わっていないからこんなことになった)。
一方で大人になっちゃった友達もいる……。
ウシジマくんから5000万盗むのは狂ってるようで、闇金の金なんだから富の再分配しましょう、って考えるの、真っ当にも感じる(笑)。
竹本くんの博愛は無駄にも見えるけど、思惑はどうあれモンスター連合の人は仲間を連れてきてくれたし、黒田は自首したし何より甲本は更生した。
報われてよかった、と思う反面。
この成功事例が竹本くんをずれた博愛から抜けさせなくさせる。
難しい話だなあと思った。
鰐戸三兄弟は凶悪だが、長男が豚塚くんのハムスターを死なせなかったのは評価する!
この話のタイトルは「ヤミ金くん」。ウシジマくんのお話なんだなあ。
青春の終わりのような切なくなる読後感の話だった。
「ゲイくん」編
「そのかわりこの狭い世界で関係を崩さないように、必要以上に気を遣い、ガマンばかりしている」
このあたりの心情、たぶん、誰でもわかる瞬間があるのではないかな。職場の派閥、友達、サークル、いろいろな人間関係の場で。
〜作中の好きな台詞、シーン〜
僕は噂だけでくまくんが犯人だと思い込んでいた。
僕はカメラを盗んだのがジャニオタであって欲しかった。
「カメラ盗んだのキミだろ?」
さまんさとは終わりだ。
さまんさはとてもイジ悪だけど、とても可愛い。
このあたりの流れはすごく好き。
「ジャニオタ(キャラクター名)の誓いは全部かなわないと思う。
誰にでも出来る簡単なことが本当に出来ない人間もいる。
ジャニオタはそーゆー人間だ。
僕もそーゆー人間だからよくわかる。」
この後花火見て「可愛いもの一杯集めようね」っていうのが、救いになっててイイ。
他の話でもウシジマくんの名場面や名エピソードは多いですが、長くなるのでとりあえずはこの2作品について書きました。
また、「出会いカフェくん編」の
ウシジマ「おい。美菜!! おめー朝っぱらからどこにいンだ?」
美菜(債務者の娘、家に帰ってない)「は? 誰? 借金取りの人?」
ウシジマ「すぐ家に戻れ!!」
美菜「ナンで?」
ウシジマ「「ナンで」だ?」「ここ、お前の家だろが!!」
も好きです。
まだ読んでいない話もあるので読みすすめます。
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