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クロックロの感想文〜鑑賞作品への率直なレビューです〜

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『四畳半神話体系』
2008年出版(日本)
著作、森見登美彦   


 京都大学3回生の男子学生「私」が、入学当時に選んだサークルによって変わる運命を描く。1回生に戻っては違うサークルを選ぶを続けるが……。


「四畳半神話大系」は、アニメを先に観て、面白かったので小説も読みました。
 だからちょっと、アニメとごっちゃになったような感想になっています。

 読んでいて思ったのはこれはモラトリアムの小説なのだということです。
 人間が誰しも持つ人生の猶予期間を四畳半というスペースにたとえた話なのではないかと思いました。

「〜当年とって二十と一つ、やがてこの世に生をうけて四半世紀になんなんとする立派な青年が〜」

 という一節がありますが、四半世紀と四畳半をかけているんじゃないかと。
 四半世紀、すなわち二十五年。モラトリアムと呼ばれる期間はだいたい二十五歳前後まででしょう。
 人間は四畳半に閉じこもって人生をあれやこれやと夢想する時期はあるが、いつかは外の世界に出ないといけない。
 それが四畳半期(モラトリアム)の終わりなんだろう――そういう意味に捉えました。

 まあ私なんぞは一生、ひきこもっていたいところですが(笑)。

 あと、アニメをみてなんとなく安部公房に作風が似ているなと思ったのですが、安部公房が用いていた同じ手法で描かれた作品らしいです。
 マジックリアリズムというとか?
 どうりで。
 安部公房、好きです。


〜ここからはアニメ〜

 好きなキャラは小津です。怪人な見た目も含めて、いや実物より怪人姿のほうが好き(笑)。あの飄々とした感じが素敵です。

「所詮はドキュメンタリーも作られたものですからね〜」
「やつはおっぱいジャンキー、おっぱいドランカーなんですよ」

 などの名言があります。
 カリスマ性のある人間というのは小津みたいな人を言うのでしょう。

 主人公に悪い部分含めて共感してしまう自分は間違いなく非リア充。

 また、女性キャラも非常に魅力的です。ヒロインの明石さん、師匠の彼女の羽貫さん、城ケ崎さんの愛する香織さん……どのキャラも好感が持てます。

 城ケ崎さんは潔癖症でラブドールしか愛せないうえ、おっぱい好きで部屋の壁に取り付けた乳房の模型でおっぱいクライミングをするという、ハイレベルな変態キャラクターです。こんなキャラクターが登場するにも関わらず品性が欠けていない仕上がりになっているところが良いです。

「四畳半神話大系」はとにかく台詞まわしが面白く、「私」の台詞など、好きなものが多すぎて挙げきれません。

 一部を挙げると

「しかし!!私はあくまで文明人としての誇りは保つ!!」(私)
 汎用性が高く、よく脳内で叫びます(前後の流れは置いておいて)。

「みっともないし、これ以上負けをこじらせたくない!」(私)
 これも何かあったときに脳内で叫びます。

「私の誇りが許さない!」(私)
 ここも汎用性が高いです(前後の流れは置いておいて)。

「こうして見ると人間とは実に奥深く多面的なものである表面しか早合点して人を蔑むのはあまりにもったいない。回り込めば思いがけぬ側面がまた見えてくる。」(私)
 これも、忘れないようにしたい言葉です。

「身を焦がすほど好きでもない相手とさみしいが故に相手を求めるなど、言語道断!!」(私)

「今まで私が使ってきた膨大に使ってきたエネルギーはどこに消えてしまったか エネルギー保存則に反する計算が合わないこれは近代物理学に対する冒涜ではないか!」(私)

「しかし私は負けなかった 負けることができなかった しかし負けていたほうが私も皆も幸せになれたに違いない」(私)

「好機であればこそ、彼女が素面に戻ってから正当な方法で合併交渉を再開すべきであろう!!」(私)
 言い回しが秀逸すぎる。

「平凡な男がある朝目覚めると一匹の毒虫になっていたというのは有名な小説の冒頭である。私の場合、そこまで劇的ではなかった。私は相変わらず私のままであったし、我が男汁吸いこんできた四畳半にも一見何ら変わったところはなかった。むろん、私がもともと毒虫同然であったという意見もあろう」(私)
 好きな言い回しなのでbotをリツイートしていたら、フォロワーが減ったことがあります(笑)。

 ほかにもいろいろと。
 ぜひ、小説もアニメもご覧になってみてください。

 また、エンディングの「神様のいうとおり」が好きです。
 自分は別サイトで趣味の漫画描いているんですが、それに登場する女の子(美砂)のテーマソングつけるならこれだなと思っています。
 なぜこんな怖い歌がエンディングなのかはよくわかりません(笑)。


 もし読み返すことがあったら、もっと詳しい感想を書きます。


 ラストにもう一つ。

「成就した恋ほど、語るに値しないものはない」


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