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『ゲゲゲの鬼太郎』〜アイデンティティの模索〜
1965年出版(日本)
著作、水木しげる  


 幽霊族の鬼太郎が、人間と妖怪の間に立ってトラブルを解決する物語です。


※ネタバレあり

 

 4月より『ゲゲゲの鬼太郎』第六期がスタートしました(2018年)。

 ゲゲゲの鬼太郎は、主人公の鬼太郎が、人間と妖怪の間に立ってトラブルを解決する物語です。普段は妖怪側に属して生活していながら、人間の味方となり闘うことの多い複雑な立場です。
 鬼太郎は幽霊族の末裔であって、妖怪ではありません。さりとて人間でもない。だからその両者の間でもがいている。

 同じように、妖怪でもなければ人間でもないキャラとして、「ねずみ男」が登場します。ねずみ男は妖怪と人間のハーフである「半妖怪」です。ねずみ男は鬼太郎の"親友"なのですが、悪いことばかりします。その悪さっていうのが、イタズラとかじゃなくて、割とシャレにならない
 原作だと特に顕著で、ねずみ男は鬼太郎が死んでもべつに平気どころか、率先して殺そうとまでしているんですよね。アニメ版のような憎めない小悪党ではなく、正真正銘の腐れ外道です。ねずみ男がすべての黒幕だったという話も多くあります。どうしてねずみ男と友達やっているんだろう……。
 ねずみ男の悪行が余りにもひどいので、閻魔大王が、鬼太郎にねずみ男の始末を依頼する話があります。これは、閻魔が怒るのも無理がない行為を確かにしていました。人間界なら即死刑です。だが、鬼太郎はそれを拒んだ。理由は――大切な、友達だから――。

 何だ、そのあからさまな身内びいきは。そんなことで正義のヒーローが務まるのか。

 鬼太郎は、聖人君子であったり、完全無欠の正義の味方というわけではありません倫理観や道徳心よりも、ねずみ男との友情を大切にする男なのです。ねずみ男によって奪われた命は数え切れない。だが、それでもねずみ男を許してしまう。

 ところで鬼太郎には「猫娘」というヒロインにあたるキャラも出てきます。あまり彼女の素性には言及されないのですが、水木しげる記念館の資料によると、猫娘もまた半妖怪ということでした。これは意外な事実であると同時に、なぜ鬼太郎がねずみ男の行為を許すのかがふっとわかった気がしました。
 半妖がねずみ男一人なら、まあ、たまたま知り合いなんだろうと思いますが、身近に二人もいるとなると、大きな意味を持ってきます。鬼太郎もまた、人間にも妖怪にもなりきれなかった存在。もしかしたら、鬼太郎はねずみ男に対し、はぐれもの同士として、思うところがあるのかもしれないと思いました。
 ねずみ男は殺さないという部分が、人ならざる鬼太郎の人らしさなのかもしれません。

 鬼太郎はどちらかと言えば妖怪よりの立場のはずです。妖怪たちと一緒に生活をしていますし。しかし、人間のために妖怪と戦う。本来、味方であるはずの妖怪を退治しなければならない彼の苦悩とはどれほどのものだろうと思います。しかも、妖怪が人間に害を加えるのは、人間の愚かな行為によっての場合も多いのです。それでも、鬼太郎は、妖怪に同情しながらも退治します。涙を流しながら倒した話もあります。
 本来は妖怪の仲間でありながら、妖怪に憎まれ、敵にならなければならない。それでも、人間が好きだから、どうしようもなく愚かな人間を守るために戦う。人間たちは鬼太郎に感謝するも、鬼太郎の辛い気持ちを理解できるものはいません。なんと悲しいヒーローだろうか。自分が観ていた鬼太郎の声優が戸田恵子だったせいか、妙にアンパンマン に通じるものを感じてしまう。すなわち、「誰にも理解してもらえないヒーロー」。それでも、文句も言わず、黙々と戦い続ける。
 『ゲゲゲの鬼太郎』は、鬼太郎がアイデンティティを模索する物語とも感じられます。

 この悲劇性が人々を惹きつけるのかもしれません。
 そして私も、「ゲゲゲの鬼太郎」に魅入られた人間の一人であるということは、言うまでもありません。

 私は鬼太郎はアニメの第3期が一番なじみ深いです。チイの反物の話とベアード様の話が大好きで何度も見ていました。ベアード様は第1期(?)のもやたらと観ていました。一反木綿がいきなり殺されるどころか、最終的にはみんな死ぬ衝撃は忘れられません。
 アニメの猫娘は回を重ねるごとにどんどんデザインが変わっていき、それが鬼太郎リメイクの一つの楽しみといえます。自分は第4期が原作っぽさと今っぽさのバランスが取れていて好きだったりします。原作に近いデザインなのに、すごく可愛い。いやもちろん第3期の猫娘も好きなんですけどね!

 第6期がどう展開していくのか、楽しみに視聴しています。

 



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