ネットいじめへの対応とその結果
文章・島田つき
ネットいじめについて被害者側が行った対応と、その結果を紹介します。何かの参考にしていただければ。※対応について取材した方の許可をもらい書いています。
必ずしも、ここに書いてあることが正しいわけではありません。ネットいじめは反応すれば激化するので、落ち着くまで黙ってスルーというのもアリな選択です。
ただ、ネットいじめ防止をうたっている立場として、何をやったらどんな結果になるのかはまとめておきたいと思いました。
この記事は把握している複数の事例についてまとめて書いたものです。個人の事例は挙げられないので、具体事例の資料は「ネットいじめ防止の会」関連のものを中心にしています(個人が絡む部分は許可をいただけた部分のみ載せています)。
被害者が受けたネットいじめは、
「事実と異なる情報が広まる」
「それがきっかけで誹謗中傷される」
というのが大まかなものです。
ので、漫画でも今回の記事でもデマのことばかり主体で取り上げる形となっていますが、デマではなくても個人情報を勝手に広めるのも当然許されない行動です。
○デマや誹謗中傷をネット上から削除できないか? 取り組んだ結果。
・Yahoo!関連ワード→1〜2日で対処してくれる。
関連ワードで不本意な情報が出る際、報告すれば削除してもらえます。やり方も難しくありません。
Yahoo!検索
- 関連検索ワードに関する情報提供フォーム
https://notice.ms.yahoo.co.jp/?p_url=https%3A%2F%2Fwww.yahoo-help.jp%2Fapp%2Fask%2Fp%2F2508%2Fform%2Fsearchrelword-info&from_a_id=&from_pid=&app_name
・ツイッター→ルールに抵触しないとのことで削除には至らず。
「具体名を挙げてデマを流す」という悪質なものだったのですが、ルールには抵触しないとのことでした。表現の自由との兼ね合いもあるのでしょうね。
→ツイッターで流されたデマについてのスクリーンショット(一部)
・まとめwiki→返事なし。
『ネットいじめ防止の会・クロックロ』について事実と真逆の情報を載せられていたのでwikiを作っている管理人様に直接連絡しました。
ほかにも事実誤認されている部分が多々あったのでかなり具体的に指摘をしたのですが、削除はおろかお返事もいただけませんでした(送信エラーの可能性も考えて二度送りました)。
そちらのwikiでは当団体について「正当な批判までデマと言い切るのは卑怯」と書いていましたが、測らずしも自分の記事によって「正当な批判ではなくデマを流している」のを証明してしまいました。
→まとめwikiで流されたデマについてのスクリーンショット(一部)
こちらの力不足による批評・批判・認識の差なら甘んじて受け止めますが、関連しない事業や記述すらしていない事柄を挙げてねつ造した内容の流布をされるのは困ります。
このほかでも削除依頼を試みたものはありますが、知識不足などもあり至ったものはありません。一度書きこまれた中傷を消すことは簡単ではなく、ネットいじめの悪質性を実感しました。
削除に成功した事例もあるようなので、それでも依頼してみる価値はあると思います。
○間違った情報の流布や誹謗中傷をやめさせるためにやってみたこと。
・ブログで間違った情報の訂正をする(匿名掲示板・ツイッター・まとめwikiのデマなどについて)。
・法的手段をとることも考えると警告する。
・ツイッターでデマを流す方に直接コンタクトを取る。
→ツイッターなど半匿名で書いている人たちには効果がありました。
正しくは誹謗中傷は激化しましたが、デマに関しては流されなくなりました。
ツイッターのデマについては、証拠としてスクリーンショットを貼りました。相手がツイートを消していない場合は、埋めこみでリンクを貼るのもよいと思います。スクショではなく埋め込みで貼る場合にはアイコンに配慮する必要もありません。
スクショを載せる際にアイコン等をそのまま載せると著作権の問題が生じますが、文字だけなら詩などを除けば数百文字という長さで著作物性が認められることはないのが通常なので、そこの問題はないでしょう。※アイコンを載せても引用の範囲であり問題ないという解釈もあります。
不思議で仕方がないのは、自分たちがネット上に公開した情報(証拠)をまとめたら「晒された」と非難するところです。人に見られて恥ずかしい発言ならなぜ全世界に発信するのかと思います(氏名や住所などプライベートな個人情報を載せたことは当然ですがありません)。
「こんな行為を行っている人たちがいる」
「これは法律に抵触する可能性のある行為だ」
というのをはっきりさせるのは重要なことです。
違法性を問えるかどうかはネットでも情報がありますので調べてみてください。「名誉毀損」で問えなくても「侮辱罪」で問える場合もあります。
どうなるかは実際に警察や裁判所の判断を仰がないと正確なところはわかりませんが、「可能性がある。これ以上続けるなら法的手段も辞さない」と主張するのはこちらの自由です。警告は公の場でする場合には個人名(アカウント名)を伏せて、個人的に警告したい場合にはDMなど他の人に見えない形でしましょう。公の場で名指しすると逆上される可能性があります。不思議なことですが、自分たちは公のネット上で攻撃をするのに、こちらに公から指摘されると彼らは怒るのです。
※もちろん気に入らないからと、問題ない行為に「訴訟する」「警察に行く」など嫌がらせ目的で書くのはNGです。他人から見ても自分側がおかしく見られるので、やめましょう。
→大型掲示板など匿名の場所の場合は逆効果でした。余計に荒れました。
警察に行くなんてただの脅しとしか捉えていない、あるいはこの程度で捕まらないと世間を舐めている人たちなので、本当に告訴するのをおすすめしたいです。
ただし、掲示板で荒れたとしても、第三者が見ればどちらの主張が正しいかはわかるものです。
また、同じレベルになってもいけませんし、あらぬ疑いをかけられるのも避けたいので、自分も掲示板に書き込んで中傷返しするというようなことはやめましょう。書きこみしていなければ、スレ内で「自演乙」「本人乙」されたときに、彼らの正当性を崩す材料の一つにできます(そもそも中傷などを書いていないなら本人が掲示板に書き込んでも叩かれる筋合いはないと思いますが)。
○反論することのメリット・デメリットを考える。
「間違った情報の訂正」と「誹謗中傷をやめさせること」どちらを優先させるかで行動も変わってきます。
誹謗中傷は反論すると100%激化します。それはもう、こちらがどれほど正論を言おうと、事実を突きつけようと激化します。だから黙っているというのも一つの選択肢です。
しかし事実無根の情報が広まるのが耐えられない、実際に風評被害が起きている、というような場合は、「一度」はっきり訂正するのは大切です。
単に「事実無根」と言うだけよりも、具体的にどこが違うのかを指摘した方が効果はあります。自分の一存だけで話ができない場合は、さしつかえない部分だけ間違いを上げて指摘するだけで充分です。証拠があれば出しましょう。
訂正を出したら、新たなデマなどが出ない限りは放っておきましょう。あとは「見ないようにする」と精神的にも安定します。
反論すればその回数分、相手の反応もエスカレートしますので、反論は「一度」にしましょう。その一度にすべてをかけるのです。
この際、あまり攻撃的な言葉は使わない方がよいです。冷静に淡々と事実だけを書きましょう(これがなかなか難しい)。
事実を伝えても信じない人もいますが、そういう人はどうしようもありません。それでも何も言わずにいるよりはましです。
また、今までの経験則として、デマを否定する→腹いせに新たなデマを流されるということが起こりえます。いちいちデマが流れていないかチェックするのも疲れるので、たまたま気づけば否定すればいいですが、そうではないなら放っておけばよいと思います。最初のデマ否定の時に「ネット上の根拠なき情報を信じないように」と書くとよいかもしれません。
誹謗中傷・デマに反論する、しないは難しい問題ですが、自分が後悔しない方法をとるのが一番です。
反論した後も、相変わらず事実と異なること・やっていないことを新たに書かれたりしましたが、言いたいことを言えたのですっきりしました。黙っていれば一生後悔したことでしょう。
こちらが一度、訂正を出している以上、その後に何を書かれても堂々としていればよいのです。
反論することのリスクとしては、「なんだかトラブルを抱えた人」という印象を周りに抱かせてしまう点があります。
言っても叩く人間からは100%叩かれること、トラブルを露呈させることで自分のイメージが下がる可能性もあること。これは念頭に置いたうえで「自分にとって一番大切な部分」を守ることを意識して選択をとるのがよいと思います。
また、取り上げた事例以外でも、悪口に溢れる場所では「こいつは叩いてもいいんだ」と決めた相手をここぞとばかりに攻撃することがあります。叩かれている人が何かやったのかもしれませんが、これだけ理不尽に人を誹謗中傷している空間で、他人のモラルを追及して批判するところが実に興味深いです。
いろいろな事件で見られる、犯罪の関係者の個人情報を書きこむ行動は絶対に許されるものではありません。しかもそれが間違っていて、結果的に無関係な人に迷惑をかけたり、といったことが起こって何度も問題になっています。一斉検挙されたこともあります。
カンちゃんのように事実と違うのに、ネットの書きこみで悪者にされてさんざん叩かれてデマでした、なんてこともあります。あれは物語ですが、ネットいじめの流れとしてのリアリティに関しては自負があります。
いろいろ書きましたが、特定できる形での深刻なデマや誹謗中傷などを見つけたら黙ってすぐに警察に行くのが一番いいのかなとも思います。
取り上げている事例では実際に告訴まで至ったことはありませんが、悪質という判断は受け、アドバイスもいただきました。被害届に関しては、「出すかどうか」と訊かれたら、躊躇してそのときは出しませんでした。代わりに警察に行ったことも含めネット上で警告を出したところ、デマは収まりました。
また、当然ですが法律に抵触しない形だからといっていじめをしてはいけません。そこはルールというより個人のモラルによる線引きとなってきます。モラルを人に押し付けることはできないので、個人個人が「これはいじめかどうか」を慎重に考えて行動するのが大切だと思います。
悪口というのは自分に向けられたものではなくても嫌な気持ちになるものです。自分の書いた悪口だって自分にダメージを与えます。だからストレス発散で悪口を書くたびに、余計にストレスをためる結果になるのです。
もしこの記事を読んでいる人で悪口を書いていたり悪口の溢れる場所を覗いている人たちがいたら、今すぐそのページは閉じましょう。そしてドラマなりアニメなりアニマル動画なり、癒されるものを見ましょう。そのほうがずっと、気持ちが救われます。スプラッター映画でもいいですよ! とにかく現実の悪意からは離れたほうがいい。
どうしても悪口が言いたい人は、ネットに投稿せずにメモ帳にでも書きましょう。
※調べたうえで書いている文章でありますが、法律家などの監修のもと書いたものではありません。もし内容に問題があるという場合にはご連絡いただければ嬉しいです。 |