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『ユメ十夜』〜創造力溢れる〜
2007年公開(日本)
監督、実相寺昭雄・市川崑・清水崇・清水厚・豊島圭介
・松尾スズキ・天野喜孝・河原真明・山下敦弘・西川美和・山口雄大
原作、夏目漱石  


 夢という形式で、摩訶不思議なショートストーリーが十夜分繰り広げられる。


※ネタバレあり

 

 ダイレンジャーの感想の途中ですが別作品の感想をアップします。ダイレンジャーも最後まで書くつもりですが、まとめるのに気合のいる作品なので、ゆとりができたらまた進めていきたいと思っています。

 夏目漱石原作、『夢十夜』の、実写映画。

 面白かったです。原作に輪をかけて意味不明な話にされていましたが、意味不明なりの面白さがありました
 第一夜から第十夜まで、それぞれ違う監督が撮っています。そのため、すべて毛色が違って、なかなか興味深いものがありました
 個人的によかったのが、第六夜と第十夜です。

 第六夜は、運慶が現代(明治)に現れて、金剛力士像を彫る話です。これが、2ちゃんねる風味で進みます。2ちゃんねる用語を使って、モノローグがパソの画面風に浮かぶわけです。で、運慶が金剛力士像を彫るのですが、踊るのです。彫る前に、やたらとポップな踊りを踊ります。
 運慶を見ながら見物人は、

「何だよ、キモメンの毒男じゃねえか」
「マンセー」
「萌え」
「詳細キボンヌ」

 とか言うわけです。そして、彫り終わった運慶は、一言、

「あぼーん」

 で、それを見た主人公が、自分も力士像を彫ろうと、家に帰って、踊りながら木を彫ります。しかし、うまくいかず、変なものができあがりました。絶望した主人公は、orzのポーズをして、

「もうダメぽ」

 そして最後のモノローグで、「欝だ、氏のう」です。
 めちゃくちゃ笑いました。
 すごいのは、これだけふざけているのに、話は原作に忠実で、むしろわかりやすく表現されていたということです。夏目漱石の込めた難解なテーマを実にわかりやすく示してくれました。

 第十夜も、ギャグ調で、面白く、わかりやすかったです。これは、原作だと、崖に追い詰められた主人公が、次々と襲い掛かる何千もの豚の群れと、ステッキでひたすらに戦うのですが、これが怖くて怖くてよく覚えています。さすがに、実写でこれを表現するのは無理だったらしく、豚はデブの男と、着ぐるみに置き換えられ、群れは出てこず、レスリングで勝負する話になっていました。
 けれど、話の構成はほぼ同じで、テーマもわかりやすかったです。漫画調というのは、案外(?)わかりやすい手法なのだと思いました。

 そのほかの話は、やたら難解な作りにしたり、原作とかなり違う表現になっていたり、無駄にホラーだったりしました。けれど、現実と非現実の入り乱れた世界観は魅力的で、どれも外れはありませんでした。

 しかし、どの監督も、やりたい放題って感じでしたね。すべてを原作に忠実に作ろうと考えた人は、一人もいなかったようです(褒め言葉)。監督それぞれの解釈が含まれていて、これはこれで興味深いものでした。でも、原作を知らなかったら意味不明だろうな、とも思いました。

 一話だけ、原作の思い出せない話がありました。第八夜か九話で、大きなミミズが出てくる話だったのですが……もう一度、原作を読もうと思います。

 ちなみに私が原作で一番好きなのは、第一夜です。「百年待っていてください」
 文章が美しい。そしてその美しい文章によってつくられた幻想的な光景が、容易に目に浮かびます。
 第五夜も好きです。

 この蹄の痕の岩に刻みつけられている間、天探女は自分の敵(かたき)である。

 淡々と語られた物語の最後の一文。淡々としたままに、主人公の激情がにじみ出ています。

 



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