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『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』〜エンタメ的〜
1972年公開(日本)
監督、福田純 脚本、関沢新一
  


 劇画家の主人公は、「子供ランド」の依頼を受けることになる。しかし、訳アリの女性を保護した結果、子供ランドの暗部を知ることとなる――。


※ネタバレあり


 1972年の作品ということで、以前に見た「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」に比べてもだいぶ今っぽくなった感じがします。コメディのテイストとか。時代ごとの空気を感じることができます。
 また、いろいろと目を疑うシーンの多い作品です

・残虐すぎるガイガン
 私の好きなガイガンの初登場作品です。やたら攻撃的なデザインで格好よさに定評のある怪獣です。その割には活躍の少なさが悔やまれますが、『ゴジラ ファイナルウォーズ』では両手にチェーンソーを携えて大活躍してくれました。
 今回のガイガンは手がかぎづめ、おなかにはトゲトゲというこれはこれでスタイリッシュなデザインです。このおなかのトゲがチェーンソーよろしく回転するのです。回転刃がアンギラスの顔を切り裂くシーンはゴジラ映画の中でも語り草になる残虐シーンです。

・吹き出しで会話するゴジラとアンギラス
 映画の画面上に吹き出しが出て、二体が会話します。声はキュルキュルした機械音なのですが、はまっていました。賛否両論を巻き起こす演出ですが、自分は好きです
「OK!」というときのアンギラスが音声も合わさって非常に可愛いです。

「いそげ! いそげ! いそげよ!」
「OK!」

・敵の宇宙人の正体
 敵の宇宙人は地球上に実在する人間の姿をしているのですが、実はそれは仮の姿。本当は巨大なゴキブリだという衝撃の展開です。しかし、汚染の進んだ世界(地球もこのままではそのうちそうなるであろう)では生き残れるのはゴキブリのみ……というのは皮肉が効いていて素敵だと思いました。
「我々のユニフォームになってもらわなければ」という台詞は本当に怖いです。

・やたらとスタイリッシュなテロップ
 映画の冒頭に、テロップが出るのですが、これがやたらとスタイリッシュでした。色付きの四角い枠が現れてその中に文字が出るというものです。実際に映像を観てもらえればその様子がおわかりいただけるかと思います。

 全体的に臭くて熱い演出で、また観終わっても重たい気分にならずさっぱりできる内容でした。
 怪獣バトルはプロレスショーっぽかったり、睨み合う姿が武士の闘いみたいでした。昔、『星のカービィ』のゲーム内で「刹那の見斬り」というのがあったのですが、それをなんとなく思い出しました。いや、全然違うだろと言われそうですが、演出とか雰囲気の方向性で言えば(というかどのくらいの人がわかるのだろう)。

 ラストは片目をつぶり睨むような鋭い目つきで画面にアップで映るゴジラで終わります。渋いです。エンディングもやたら男くさくて渋い格好いい歌で、夕日に向かってゴジラとアンギラスが海を泳いで帰っている後ろ姿で終わります。
 物語の冒頭は手を挙げて吠えるアップのゴジラです。ゴジラのアップで始まり終わるというというところもよかったです。

 VSシリーズのような重厚さはありませんが、独特で楽しいゴジラ映画でした。

 主人公が劇画家というのもユニークです(オタク系じゃなくてナンパな感じの男前)。主人公の面倒を見ている女性との関係の謎さも興味深かったです。恋人、って感じじゃないのが逆によかったです。あの女性もめちゃくちゃ強いが何者なんだ……。
 赤ワンピースのもう一人の女性とヒッピー風男の関係も謎すぎて面白いです。ちなみに作中では一切の説明がありません。特にヒッピー風男に関しては最後までまともな個人情報が出てくることはありませんでした。この女性、顔は大人っぽいのに服装が猫娘まんまなのが気になりました。このころは流行っていたのでしょうか。
 また、ヒッピー風の人も、ギャグでこういう格好なのか、それともこのころはこういう格好が普通だったのか、気になります。ちょっと極端にしているくらいの感じでしょうか。


 以下、細かい感想。

 主人公は漫画やイラストを描くことを生業としています。
「怪獣シュクラ」「ママゴン」というユニークな怪獣を生み出します。シュクラは宿題のおばけ、ママゴンは教育ママの怪獣ということで、当時の世相を反映していて面白かったです。
 イラストが魅力的なのもよかったです。ママゴンが世話してもらっている女性の服の柄なのが笑えます。

 主人公は子供ランドの事業を仕事で手伝うことになります。
『子供ランド』という名称がいかにもうさん臭くて怖いです。20世紀少年』の「ともだちランド」みたいです(そういえば時代もちょうどこのころだ)。

「子供たちはここで平和を学ぶのです」
「今でもけっこう平和ですがね」
「見せかけの平和はすぐに壊れます。私が言うのは完全な平和です」

「完全な平和」という言葉の響きが不気味です。

 この話では、怪獣たちは「怪獣島」というところに集められて生活をしています。怪獣を管理しているという平和さが新鮮です。
 楽しそうにしているゴジラ・ラドン・アンギラス・モスラ(幼虫)・カマキラス・ゴロザウルス・クモンガ・ミニラ……今までに登場したさまざまな出てきてにぎやかです。
 しかし、『子供ランド』の責任者は、「怪獣島は抹殺する」というのです。平和に暮らしている怪獣たちの映像に合わせて台詞が言われるので胸が痛みます。

 主人公は赤いワンピースの女性が子供ランドの経営ビルから逃げるように飛び出すのに遭遇します。追いかける職員に「女はどちらに行った?」と聞かれて、まったく違う方向を指さすところが素敵です。
 女の子の落としていった謎のテープを主人公は拾います。

 その夜、帰路の途中で赤ワンピ女とヒッピーに絡まれる主人公。気絶してしまうところに性格が出ていて面白いです。
 二人から事情を聴き、子供ランドが胡散臭い施設であること、彼女のお兄さんは監禁されていること、テープは子供ランドの秘密を暴くものであることを知らされます。当たり前のように女の子たちと協力し始める主人公に人柄のよさを感じます。

 子供ランド責任者の言い分は、

「監禁じゃない。泊まり込みで働いてもらっているんだ」

 というもの。
 なんというブラック企業。

 ゴジラは何かを察知し、アンギラスに偵察してくるように指示します。この二体、仲が良いんだなあ。平成になるとアンギラスはほとんど影が見えなくなってしまったけれど……。

 子供ランドについて調べていくと、子供ランドの職員はもう死んでいる人間であることが発覚します。ミステリー要素も加わりさらに面白くなってきました。

 一方、偵察に来るアンギラス。ライトで照らし出されてまぶしそうにする様子が可愛いです。

 そして、意味深な会話をしている子供ランドの職員たち。

「地球人の能力がわかった以上、サンプルとしての価値もなくなったということだね」

 怖いです。
 このあたりで、彼らが宇宙人であることが明かされます。

 子供ランドに赤ワンピ娘の兄を救出に忍び込む主人公。子供ランド責任者に見つかりますが、なんとかごまかします。
 帰ろうとする主人公に、責任者は「あげるよ」とタバコを投げ渡します。
 そしてまた、意味深な会話……。

「どうですかあの男」
「抜けているような抜けていないような。我々のリストには珍しい種類だ」

 とぼけてごまかす主人公もなかなかですが、宇宙人たちのほうが一枚上手なようです。

 タバコには発信装置が仕掛けられており、主人公たちの居場所がばれてしまいました。
 テープを奪われ、追いつめられる主人公たち。そこにたまたま来た主人公マネージャーの女性が、華麗な空手で敵を撃退します。ママゴン強い!!

 退避した宇宙人たちによって、キングギドラとガイガンが呼び寄せられます。あの磁気テープは怪獣を呼び寄せるためのものだったのです。
 宇宙から二体が飛んでくる姿がやたらとスタイリッシュで格好いいです。アクロバティックです。
 最初、赤い宝石と青い宝石みたいなものが宇宙で光って、二体の怪獣に変わる演出も格好いいです。

 ゴジラもアンギラスと共に泳いできます。
 それにしても、今回のゴジラの造形はちょっとひどすぎやしませんか(笑)。60年代の作品のよりもバランスが悪いかも……まだ、子供ランドのゴジラ像のほうがリアルでスタイルがイイです。

 子供ランドに潜入した主人公たちは、再び宇宙人に捕まってしまいます。

「君たちは実に運がよかった」
「これで運がいいの」

 というやりとりがユーモラスです。

 そして、「君たちの体はユニフォームとして利用させてもらうことになった」と。
 怖い。怖すぎます。

 宇宙人たちの見た目の正体がゴキブリ姿であることが明らかになります。人間大の大きなゴキブリ。ドン引きの設定です。

 地球では、対怪獣組織が宇宙怪獣の飛ばす音を聞いて何が飛来してくるのかを調査しています。

「一つはキングギドラ。もう一つはわからんなあ。初めて聴く音だぞ」

 この人音だけで怪獣聞き分けられるの。すごい。完璧なるプロですね。

 飛んできたキングギドラとガイガンがゴジラのオブジェの周りをぐるぐる飛ぶのがシュールです。

「頭が三つキングギドラ」
「あれがガイガンだ」

 ご丁寧に説明してくれる宇宙人たち。
 二体はテープの信号でコントロールされているようです。
 ガイガンもキングギドラも格好いいデザインですが、基本的にどちらも宇宙人や人類に操作される存在なんですよね。少しもったいない感じがします。

 子供ランドへ向かうゴジラとアンギラス。二体が再び吹き出しで会話します。

「いそげ! いそげ! いそげよ!」
「OK!」

 アンギラス、返事はいつもOKなのね。可愛いです。

 怪獣たちは二対二のバトルになるようです(ゴジラ&アンギラスチーム、キングギドラ&ガイガンチーム)。

 そんなこんなの中で、主人公たちが宇宙人の元から逃げます。

「ユニフォームが逃げました」

 すでに「ユニフォーム」呼ばわりです。

 バトルではガイガンによるアンギラスいじめ状態になりますが、アンギラスはゴジラの方に行き助けを求めます。ゴジラはアンギラスを振り返り、ガイガンに対峙します。仲良しなのがよくわかります。

 キングギドラは鳴き声がやたらと可愛いです。

 一方のガイガンの鋸は恐ろしいです。上から下まで攻撃的なフォルムをした怪獣です。これはサイコキラーですわ……。
 回転する鋸に、アンギラスは勢いよく突進していきます。
 か、か、顔から血が! グロすぎます。
 昭和ゴジラはなぜ子供向けなのに微妙にグロいのでしょうか。
 ていうかアンギラス、あんなに鋸が回転しているのに突っ込むなよ!

 司令塔が壊され、宇宙人たちは倒されます。姿は人間から本来の巨大ゴキブリに戻っています。死んで本来の姿に戻るところに哀れを感じます。
 機械では生物には勝てないというメッセージを感じ、このころからすでに機械化への警鐘が鳴らされていたのだなと思いました。

 画面は対峙するガイガン・アンギラス・キングギドラに移ります。カメラワークが侍映画みたいで素敵です。
 今作品の怪獣バトルは全体的に格好良いです。格好いいの方向性としては人間同士の闘いみたいです。いい意味でショー的な格好良さがあります。

 この話のゴジラはよく両手を挙げて万歳をして、それが可愛いです。

 そしてガイガン、尖った手でゴジラを叩きまくります。
 ゴジラ、額から血が……。恐ろしすぎます。

 ピンチになるゴジラですが、なぜかゴジラが元気になります。なぜなのかよくわかりませんでした。

 そして、ゴジラがキングギドラを抑え込み、何度もアンギラスがトゲトゲアタック!
 こっちも恐ろしすぎます。
「あの」キングギドラが可哀想に見えてくるのです。

 最終的に、ガイガンとキングギドラは逃げ帰って終わります。平和な終わり方でホッとします。ゴジラとアンギラスも帰っていきます。

 振り返ったゴジラの片目を閉じた顔のアップで終了。やたら熱いエンディングが始まります。
 ただ歌詞の中に「でっかい体に可愛い目玉」とあります。やっぱり、ゴジラの目って可愛いんですね。これは公式設定だったのだ!

 いろいろと子供向けではありましたが、しっかりエンターテイメントしていて面白かったです。

 



 

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