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女性受講生、京都造形芸大をセクハラで提訴
〜愛と幻想の芸術論
2019年2月27日報道

 ・京都造形芸術大の東京キャンパスの公開講座内で、ゲスト講師から環境型セクハラにあったと受講女性が主張。
 ・受講していた女性は精神的苦痛を受けたとして、大学を運営する学校法人「瓜生山学園」を相手取り、慰謝料を求める訴訟をする。
 ・講義は「ヌード」をテーマにしたもの。
 ・講義は五回あった。第三回目の会田誠講師から、「四肢切断された女性が犬の格好をした絵」「AV女優がゴキブリと性行為をしている作品(大きなゴキブリが女性に覆いかぶさっている写真作品)」「講師本人が自慰行為を行っている写真(映像作品の切り取り・後ろ姿)」などを十分な告知のないままスクリーン上で見せられる。また、写真の女性の乳首をペンライトでつつくなどした(胸部が重要な実写作品)。デッサンモデルをズリネタにしたと笑いをとるなどの下ネタトークも(原告女性は美術モデル)。また、講師は遅刻したうえ、酔っているような状態だった。
 ・その後、すぐにセクハラとして学校に抗議を入れる。
 ・しかし第五回目の鷹野隆大講師のときにも男性器が大写しにされるなどされて苦痛だった。
 ・会田誠さんは遅刻と飲酒を否定。飲酒疑惑に関しては病気の影響で赤ら顔であること、フリートークスタイルでそう見えたのだと主張。遅刻に関しては完全否定。また、講義内容は真剣な芸術論をしたつもりで、「ズリネタ」などの発言はその過程で出たもの(世間では女性の裸に欲情するのは普通、ではなぜヌードモデルへの欲情は禁止されているのか、世間とこの空間、どちらが嘘で病的なのか? のような文脈。また、20年以上前の学生時代の話で、個人を特定した表現でもない)。
 ・鷹野隆大さんは事前に男性器を映すこと・見たくない方がいる場合は映さないので目をつぶった状態で挙手してくださいと伝えたと主張。
 ・大学は当初、対策が不十分だったと認めて謝罪文もHPに記載。しかし、示談交渉の中で、「お互いにかかわりを持たない(卒業生である女性に、大学へのモデルの仕事を含めて出入りを禁止・同窓会への参加も禁止)」という条件を出されたという。女性はこれを不服とした。
 ・講義の内容や作品に関しての提訴ではない。あくまでこのような状況を起こした大学の配慮不足への訴訟ということ。
 ・女性は急性ストレス障害になった。
 ・大学からの世間への説明は現段階でない。
 ・シラバスの事前告知では講師名・第二次性徴やポルノに関わる話題も避けては通れないと書かれていた。
 調べた限りではこういう情報ですが、間違っている箇所などありましたらごめんなさい。ご指摘いただければ修正します。
 また、いろいろな意見を見る中で、「画像を見せる前に事前告知があったのに〜」というのが多いですが、自分が調べた中で発端となった第三回目講義内で事前告知があったかどうかは知ることができませんでした。第五回目講師の主張を、第三回目の方とも混同している意見が多いのでは?(実際していたのかもしれませんし、していなかったとしてもその是非は置いておいて、仮に混同があるなら問題かと)


 このニュースに絡むけどちょっとずれたところのお話。

「モデルを〇〇ネタ」(下ネタ)にしたというのは、会田誠さんの説明を拝見して、本気で語った内容だったのだということは伝わってきました。
 たぶん、べつに引き受けなくてもいい立場の中で、これからを担う芸術家のためにやってくださった講義なのだろうとも思いますし。

 そのうえで。
 妄想だけなら言論の自由の範疇だけど、実際したことを公言しちゃうのはアウトだろう、という批判が起きるのも自然だし(なんの物議も起きないならそっちのほうが問題提起として成立しない)、されとて”セクハラ”として規制すべきかといえばそれは違うかなと思わなくもない。
 このタブーにあえて触れることに意義があるというのも意見としてわかるから。そのために自分の体験談まで出したのだろうから(出さなくても話はできたのではとは思いますが)。

 けっこう複雑な位置のことで、あまり突き詰めて考えない方がいいような気がする(笑)。


 この発言の意図は、一つの問いということなので、自分なりに考えてみました。

 美術に関係する人のいろいろな意見で批判派の中で多かったのが、「画家ならヌードモデルへ敬意を、それが美術界の倫理でありモデルとの信頼関係」ということらしいんですね。

 こういう価値観を共有することは素敵だなと思った。
 たぶん、一般人が思うよりも重要なポイントなのだろうと。

 

 ヌードモデルが安心して人前で脱げるのは、そこに集まっているのが紳士・淑女だと信じているからだよね。
 だから扱う側は、その信頼に応えなくちゃいけない。キレイゴトで覆い隠すのは、"嘘"かもしれないが、"誠意"でもある。

 たとえそれが幻想であったとしても、その美しき幻想が守られる美術界であってほしいなと自分は思う。

 


 
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